「モデル建物法の計算、どこから手をつけていいかわからない…」
「外皮って何を拾えばいいの?」
「BEI値が基準を超えてしまって困っている…」
省エネ計算の実務に携わる方なら、一度はこんな悩みを抱えたことがあるのではないでしょうか。
モデル建物法は、建築物の省エネ基準適合性を判定するための重要な計算方法です。しかし、設備の拾い出し、審査機関対応など、覚えることが多く、初めて取り組む方にとってはハードルが高いのが現実です。
この記事では、モデル建物法の計算手順を、実務経験に基づいて一から丁寧に解説します。
読み終える頃には、モデル建物法の全体像が理解でき、自信を持って計算に取り組めるようになるはずです。
この記事で得られること
- モデル建物法の基礎知識と全体の流れ
- 外皮の拾い方の具体的な手順
- 設備(照明・空調・給湯・換気)の正しい拾い方
- よくある間違いとその対処法
- 審査機関対応のポイント
- 効率的に作業を進めるコツ
- すぐに使えるチェックリスト
こんな方におすすめ
- モデル建物法の計算を初めて行う方
- 計算に不安があり、正しい手順を確認したい方
- 審査機関からの指摘に困っている方
- 効率的に作業を進めたい方
- 外注せず自分で計算できるようになりたい方
それでは、さっそく見ていきましょう。
モデル建物法とは?
基礎知識
モデル建物法とは、建築物の省エネ基準適合性を判定するための計算方法の一つです。建物を標準的な「モデル建物」に当てはめて、一次エネルギー消費量を計算します。
省エネ計算には大きく分けて2つの方法があります:
- モデル建物法:標準的な建物モデルで計算(簡易的)
- 標準入力法:実際の設備仕様を詳細に入力(複雑だが正確)
モデル建物法は、標準入力法に比べて入力項目が少なく、比較的簡単に計算できるのが特徴です。
いつ必要になるのか
モデル建物法の計算が必要になるのは、以下のような場合です:
- 一定規模以上の非住宅建築物を新築・増改築する場合
- 省エネ基準適合性判定を受ける場合
- 建築確認申請に省エネ計算書を添付する場合
特に、2025年4月からは300㎡以下の小規模建物にも省エネ基準が適用され、さらに2026年4月にも法改正により省エネ基準が強化される予定のため、今後ますます需要が増えることが予想されます。
計算の目的
モデル建物法で算出するのは、BEI値(Building Energy Index)です。
BEI = 設計一次エネルギー消費量 ÷ 基準一次エネルギー消費量
BEI ≦ 1.0であれば、省エネ基準に適合していると判断されます。
計算手順の全体像
モデル建物法の計算は、大きく分けて以下の流れで進めます。
全体フロー
必要な資料・ツール
- 確認申請書1面~6面
- 付近見取り図
- 配置図
- 仕上表(内外)
- 平面図
- 平面詳細図
- 立面図
- 断面図
- 求積図
- 矩計図
- 建具配置、建具表
- 照明図
- 換気図
- 空調図
- 給湯図
- EV図(設置あれば)
- 太陽光(設置あれば)
- CADソフト(AutoCAD、JW-CADなど)
- Excel(補助計算シート)
- 省エネ計算プログラム(WEB版)
- モデル建物法のマニュアル
- 審査機関の要領書
作業時間の目安
工場(空調なし、照明のみ):
2〜3時間
事務所(小規模、空調あり):
1〜2日
大規模建物(複雑な設備):
3〜5日以上
最初は時間がかかりますが、慣れれば作業時間は大幅に短縮できます。
よくある間違い(概要)
モデル建物法の計算では、初心者が陥りがちな間違いがいくつかあります。
代表的な間違い
- 用途ごとの拾い方を間違える
- 照明、空調、換気など、それぞれルールが異なります
- 厨房の換気を入れてしまう
- 厨房の換気は計算から除外するルールがあります
- 断熱材の境界を間違える
- 壁全体ではなく、断熱材が入っている部分で取ります
- 非空調コア部を拾い忘れる
- 補助計算シートへの入力に必要です
- 縮尺の確認を怠る
- CAD読み込み時に必ず確認しないと、全ての計算が狂います
具体的な計算手順、よくある間違いの詳細な対処法、効率化のコツ、すぐに使えるチェックリストまで、「最初の1案件を一人で完走できる」レベルを目指して実務目線でまとめました。
単にやり方を説明するだけでなく、「どこでつまづきやすいか」「どう直せばBEIを1.0以下に持っていけるか」まで踏み込んで解説しているので、試行錯誤のムダ時間や、審査機関からの手戻りリスクを大きく減らせる内容になっています。

